Q&A

税務Q&A

2022年8月10日

 当社は、個人事業を営んでいたAが10年前に法人成りをして設立された株式会社です。

 この度、Aの個人事業時代から在職していた取締役Bが退職したため、役員退職慰労金を支給することとなりました。当社の規定によりますと、支給額の算定に当たり、退職者の在職期間にAの個人事業時代の在職期間も含めて計算することになっているのですが、Bに対してもこの規定に従って支給額を算定し、役員退職金として損金の額に算入しても問題ないでしょうか?
 

 法人が使用人に対して支給する退職金について、個人事業当時の在職期間を計算根拠に含めることについては、その退職が法人設立後相当期間を経過した後に行われている場合には、その支給した退職給与の全額を損金の額に算入することとされています。

 一方、法人が役員に対して不相当に高額な退職給与を支給した場合には、その不相当に高額な金額は損金の額に算入されません。

 役員退職給与の額が不相当に高額であるかどうかの判断基準の一つとして従事期間が示されていますが、その期間は「その法人の業務に従事した期間」と規定されており、たとえ、個人事業を廃止し法人を設立して個人事業に従事していた人員を引き継いだとしても、その役員の個人事業時代の在職期間は、その法人の業務に従事した期間には含まれません。

 したがって、Aの個人事業の時代にBが在職していた期間は、Bが法人の役員として在職した期間には含まれないことになります。

 

 

 

※上記記事は、記事更新時現在の税法等の諸法令及び判例等に基づいたものですので、取扱いに変更がある可能性があります。