Q&A

税務Q&A

2021年10月8日

 私は、個人で医院を経営する開業医です。
 この度、医院で使用している医療機器が故障したため修繕したところ、修繕費が400,000円かかりました。
 契約している損害保険において対象物の修繕に該当したことから保険金として1,000,000円を受け取りました。
 そこで、保険金1,000,000円を雑収入とし、修繕費400,000円を必要経費に計上し、結果として支出額を上回る部分の600,000円を課税所得として確定申告しました。

 しかし、このような保険金は、全額が非課税となるのではないかという見解を聞きました。私は、受け取った保険金を全額非課税として、更正の請求をすることができますか。

法人においては保険金を受け取った場合は雑収入として課税されますが、個人が受け取った、事故により資産に加えられた損害に基因して受け取った保険金は非課税とされます。したがって、非課税所得を誤って過大に課税所得に算入しており、更正の請求により減額更正が認められます。

< 解説 >

所得税法9条では、次のように、資産の故障等により支払いを受ける保険金は非課税とすると規定しています。(所法9①十七)

一方で、所得税法施行令30条では非課税とされる保険金に「損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補填するための金額が含まれている場合」には、その金額を控除した金額に相当する部分が非課税となるとしています。つまり、収入金額を補填する保険金のうち必要経費を補填する部分は、収入金額に算入されるということです。その「必要経費に算入される金額を補填するための金額」の範囲は臨時的費用にあたらない給与や通常の維持管理費としてのようなものの経費補填額としています。

したがって、突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して受け取った保険金は非課税所得として収入に計上する必要はありません。修繕費は通常の維持管理に要する費用ではないため対応する同額を収入と両建て計上する必要はありません。

更正の請求については法定申告期限から5年以内であれば更正の請求ができます。

 

 ※上記記事は、記事更新時現在の税法等の諸法令及び判例等に基づいたものですので、取扱いに変更がある可能性があります。