税務Q&A
2024年10月5日
私の父は岐阜県関市で金属加工業を営む個人事業主でした。
先日死亡したため、相続人である私が事業を承継しました。
工場に勤務していた従業員には、現在も従来どおり引き続き勤務してもらっていますが、
父の死亡により、父と従業員の雇用契約は終了しましたので、その勤務期間に対応する退職金を一旦支給しようと考えています。
従業員に支給する退職金は、父の準確定申告(死亡後4か月以内に申告)において必要経費に算入することはできると考えますが、如何でしょうか。
先日死亡したため、相続人である私が事業を承継しました。
工場に勤務していた従業員には、現在も従来どおり引き続き勤務してもらっていますが、
父の死亡により、父と従業員の雇用契約は終了しましたので、その勤務期間に対応する退職金を一旦支給しようと考えています。
従業員に支給する退職金は、父の準確定申告(死亡後4か月以内に申告)において必要経費に算入することはできると考えますが、如何でしょうか。
亡くなった父の準確定申告における事業所得の計算上、必要経費に算入することはできないと考えます。
必要経費に算入すべき費用は、別段の定めがあるものを除いて、その年において債務が確定したものとされています。
個人事業主が年の途中において死亡した場合には、それは、死亡の時までに債務が確定したものに限られます。
今回のご質問について検討しますと、以下の2点が論点になると思います。
①使用者(父)の死亡により、従業員との雇用契約が終了したかどうか。
原則として、雇用契約上の使用者の地位は相続の対象となりますので、雇用契約は死亡によって消滅するものではありません。
②使用者(父)の死亡時に、従業員に退職金を支払うべき債務が確定していたかどうか。
①のとおり、従業員との雇用契約は継続しているため、従業員に退職の事実がなく退職金を支払うべき理由がないことから、債務が確定していることにはならないと考えられます。
したがって、従業員に支給した退職金は父の準確定申告における事業所得の計算上、必要経費に算入することはできないと考えます。
なお、仮に事業を承継した相続人が退職金を支給した場合には、退職金相当額については、退職の事実がないため、原則として、事業を承継した相続人の事業所得の計算上、従業員に対する給与(賞与)として必要経費になります。
※上記記事は、現在の税法等の諸法令及び判例等に基づいたものですが、解釈については私見もありますので、ご承知ください。