Q&A

税務Q&A

2017年2月10日

 
 私は、豊田市で自動車関連部品の製造を行っている会社です。
 当社の下請け企業と当社との間で、金銭債権債務が存在します。
 現在は、当社が発注した部品を生産するための金型の購入資金について下請先から融資の申込みがあり、1,000万円を貸し付け、400万円が残っています。

 製品のモデルチェンジによって、今後その金型を使用して生産する部品を発注しないことになってしまい、その旨を下請先にその旨を通知しました。
 その後、下請け先から金型購入のための当該債務の残額を免除してほしいという申し出がありました。

 協議の結果、覚書を交わしてその半額の200万円を債権放棄しようと考えておりますが、この債権放棄額は税法上当該下請先に対する寄附金の額とされるのでしょうか。

法人税法第37条の規定の対象となる寄附金とは、法人の金銭又はその他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与です。

これは、贈与者、受贈者のいずれにとっても、反対給付のない一方的な金銭又は資産等の移転です。

 

 ご質問の場合、債務免除を受ける下請先には、それを受ける業務上の合理的な理由があると考えられます。

 つまり、取得した金型が納入先の一方的な事情で使えなくなったため廃棄しなければならなくなったという損失があり、この廃棄損の補償を債務免除という方法で貴社に要求してきたわけです。貴社も下請先に業務上の都合で迷惑をかけたという気持ちがあるため、債権の一部を放棄されたのであり、一種の違約損失補償といえるものでしょう。

 したがって、当該債権放棄額のうち違約損失補償額として相当と認められる部分の金額は、寄附金の額になりません。

 

 補償の仕方として、下請先から金型を未償却残額等で買い取り、貴社で廃棄することもあり得ると思います。

 

※上記記事は、2017年1月31日現在の税法等の諸法令及び判例等に基づいたものですが、解釈については私見もありますので、ご承知ください。